悲しき 極道

危機一髪

野球部と水泳部の両立は
ダルい。

走って泳いで、
走って泳いで…

体がもちまへん…



県大会前日、
トンでもない事がおこった。

ワシのクロールのタイムが、
オリンピック選手なみの
タイムやった。

クイコミがはしゃいどる…
明日は兵庫県で一番や〜
って…

…アホや。

これにはワシ自身も、
ビックリした!


まぁあんだけ
野球部で走らされて、
その後泳がされてたら
体力もつくわな。


明日は県大会と
言う事もあってか、
早目に帰らしてくれよった。



明日ワシの泳ぎを見た
スカウトマンが、
必ず
スカウトしにくると信じて
有頂天ギミで中々
寝られへんかった。




「なぁなぁ〜
タバコ行こうや〜」

しばらく寝たと思う。

藤が珍しく、
優しぃ起こしよった。

いつもは
ガサツく起こすのに…



ワシらは部屋から出て、
物置小屋でタバコを吸うた。

「寝起きのタバコは
ウマいやろ〜♪」

「なんや藤。
エラい機嫌よろしぃなぁ」

「そぉかなぁ〜♪」

ワシはイヤな予感がした。

コイツが鼻歌まじりの時は、
えぇ事あらへん…

なんもない事を祈り、
残りのタバコを吸うた。

………。
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