悲しき 極道

おい!番長〜

ヨシケン事件の後、
ワシが怒られた。

見た目は一方的な
イジメにあたるみたいで…

イジメされたん、
ワシちゃうの?

って感じやわ…



結局ワシは
ケンカすることなく、
暗黙で一番なってた。


一番やから言うて、
何もない。

…アホ臭い事や。



ゲンや高山やノブは、
ちょこちょこ
ウチの寮に来てた。


たまに夜中、
タバコ土産を持って。


牧は自分が
一番やないことが
気に食わんのやろ…
しばらく寄りつかんかった。




新学期が始まり、
生徒会長を決める時期がきた。



学園では、
スグに決めやん。

大体どんな人間かを
知るために、
ゴールデンウィーク開けに
決めよる。



候補には
ワシと牧とガリ勉の
須磨寮代表、
山田が上がった。


ワシは
勘弁して欲しかった…

牧も
「えー…」
みたいな事言うとった。

山田はヤル気満々や。




決めるんは、
投票や。


取り敢えずワシは、
六甲寮と鷹取寮には
山田と書くよぉにさした。

ウチの布引寮は
牧と書くよぉしたった。


これでワシやなくなる。




投票日、
牧か山田がなろうが
どぉでも良かった。


牧も嫌がっとるし、
山田なら問題はない。




「それでは〜
読み上げるぞ〜」

クイコミが仕切っとる…


「山田〜…山田〜
牧〜…山田〜…牧〜」



クイコミの、
どっかの宗教的な
読み上げ方が
終わった。


結果が出たみたいや。



…はぁ〜!?

誰がワシに
30票も入れとんねん!!


牧が33票で、
山田も33票や。



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