悲しき 極道

バイク

公園には、
いつも4〜5人のヤンキー兄ちゃんらがおった。


その中のマー君が一番上で、
マー君はワシを、
弟みたいに可愛がってくれた。

ワシも兄の様にしたってたな。


マー君がバイクに乗る時は、
必ずワシを
後ろに乗してくよったな。

毎日が楽しかっなぁ。



ある日、
メンバーのケンちゃんが
ワシ用にと、
ラッタッタって言うバイクを持ってきてくれた。

真っ赤なバイク。

涙が出る程、嬉しかったわ!


ケンちゃんが、
エンジンのかけ方を教えてくれた。

「ええか!
 こぉやって、
 キックペダルに足乗せ て
 キックと同時に、
 …ラッタッタ!!
 て、叫ぶんやで!」

「ヨシ!
 分かった!!」


ワシは言われた通り、

「…ラッタッタ!!
 …ラッタッタ!!」

やったけど、かからん…
何でや?

「…ラッタッタ!!
 …ラッタッタ!!
 …ラッタッタ!!」


ワシが必死でやっとるのに、
ケンちゃんらは
腹抱えて笑ろとる…

何がオモロいねん!?

ムキになっとるワシに、
ケンちゃんは

「言うの忘れとぉわ。
 クラッチにぎって、
 アクセル回さなアカン ねん(笑)」

言われた通りやったら、かかった!



それからしばらく、
ワシはバイクの練習をした。

なんとか乗れる様になり、
みんなと走る日がきた!


マー君が心配そうに、
ワシんとこにきた。

「大丈夫か?
 無理なら俺のケツ乗り や…」

ワシは大丈夫やで!
と、答えるなりいつもの様に、

「…ラッタッタ!!
 …ラッタッタ!!」

ワシは自慢げにマー君を見た。

エンジンがかかったのに、
マー君が心配そぉな顔しとる。

「…あのな、エンジンか ける時、
 ラッタッタ!!
 とか言わんでもかかる からな…」

…ウソ!?

ワシは黙ってやってみた。

……ホンマや……
ケンちゃん、
おちょくりやがったな…

まんまと騙された(泣)



初めてのバイクは、
ちょっとハズカシい思いしたけど、
バイクは最高やな!
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