x.stage
Deux
カルテットの森は明るい。
鮮やかな緑色の木々、小鳥の鳴き声につられて動物たちがやって来る。
人が滅多に来ないのは、この森が迷路のようになっているためだと架凛は考えている。
さすがに毎日歩けば覚える道のりも、数回しか訪れない者ではとても覚えきれない。
架凛はそんな森が気に入っている。
いくら明るい森でも、一人で暮らすには危ないと何度も警告はされてきた。
それでも離れない彼女は、森の案内人として知られている。
今日もいつもの薬草摘みのコースである、少し開けた広場に向かった。
いつもと違うのは、そこに少女が倒れていることである。
「えっ……女の子……?」
近づいてみると、よく聞こえないが何か言っている。
生きていることが分かれば迷っている暇はない。
家まで運ぼうと考え、近くに待機させていた馬の下まで彼女を担いだ。