x.stage
―――…‥・
頭から離れないのは、あの時の陸の笑顔。
またなって言ったのだから、また会える。
そう信じなきゃと考えていると、少し遠くの方で話し声がした。
女の人の声だと分かると、陸じゃないと落胆してしまう。
それでも千夜は重い瞼をうっすらと開けた。
最初に目に入ったのは、綺麗な木目の天井。
ゆっくり右に首を傾けると、ロッジのような建物だと分かった。
千夜はこの小さな部屋の入り口に目を向けた。
奥では金髪の女性が何か話している。
起き上がろうとする気配に気づいたのか、奥から女性がやって来た。
長いスカートを翻しながら近づいて来た女性は、よく見ると目の色素も薄い。
外人だろうと千夜は思ったが、流暢に話す言葉を聞いて驚きを隠せなかった。
「大丈夫?どこか痛い所はない?一応怪我はしてなかったみたいだけれど…。」
心配そうに顔を覗き込む彼女は、ぽかんと口を開いたままの千夜を見てくすりと笑った。