x.stage
「あぁ、私は怪しい者ではないわ。カルテットの森の案内人、久階架凛(クシナカリン)。ここは私の家よ。」
架凛の素性について聞かされても、千夜はまだ混乱していた。
カルテットの森とはどこか、そもそもいつ森に入ったのか。
考えるにつれて原因は一つしか浮かばなかった。
「あの闇が通じていたのって……」
「どうかしたかしら?」
何から尋ねようか考える間もなく、言葉が飛び出した。
「あの、あたしと一緒に男の子がいませんでしたか!?金髪で、背はあたしよりも高くて、ちょっと大きめの黒いシャツを着てて―――」
「落ち着いて。森を全て探したわけではないけれど、あなたの周りには少なくともそのような人はいなかったわ。」
明らかに落胆したのが顔に出たのか、架凛は優しく続けた。