x.stage
「この森はとても道に迷いやすいの。だからね、所々にこの家への道しるべがあるから、お友達がここに来る可能性もあると思うわよ。」
会えるかもしれないと千夜の中に希望が沸いた。
自然と溢れた笑みを見て、架凛も小さく笑った。
「可愛いね、貴女。」
「えぇ!?く、久階さんの方が2843倍綺麗です!!」
あわてふためく千夜を見て、彼女はまた笑った。
高い位置で結わえられているポニーテールが小さく揺れる。
千夜は架凛に向き直った。
「あの、助けて頂きありがとうございました。あたし、佐倉千夜(サクラチヤ)って言います。今行く所が無くて…しばらくここに泊めてもらえませんか?もちろん、お手伝いとかさせてもらいますんで!」
突然の申し出にも関わらず、架凛は快く承諾してくれた。
空き部屋があるらしく何泊でもしていいとまで言われ、千夜は何度もお礼を言った。