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序章
昔、一人の旅人がある国を訪れました。
そこは小さな小さな国ですが、争いもなく国民は平和な日々を過ごしていました。
『私たちは今の生活に満足している。』
口々にそう応える国民に、旅人はこう言いました。
『あなた方はもっといい国をつくろうとは思わないのですか?』
この質問に国民は大いに動揺しました。
平和以上に何を望むのだと言う人もいれは、我々の力では限界もあると言う人もいました。
旅人はその問いにこう答えました。
『もっと資源の豊かな大きい国をつくるのです。私がつくってみせましょう。あなた方は平和を守ってくれればいい。きっと今より素晴らしい国になる。皆が幸せになれるんです。』
国民の一抹の不安は、やがて希望へと変わっていくことになります。
小さな国から始まった改革は、やがて世界の改革へと繋がりました。
国の数は増え、中でもこの国は大きな富と地位を得ました。
こうして、旅人の言葉がこの国を、そしてこの世界を変えることになったのです。
――――――『記伝史書』より抜粋