x.stage
trois
千夜が眠っていた部屋を出てすぐが、広いリビングのような場所だった。
右手の奥には外に通じるらしきドア、真ん中にはテーブルや椅子、そしてソファー。
全て木製である。
左手にキッチンがあり、架凛は、さっき千夜が飲んだコーンスープの器を片付けている。
真郷はソファーでくつろいでいるので、千夜は遠慮がちにその後ろの四人掛けのテーブルに向かう。
椅子に座って間もなく、架凛が千夜の前に座った。
紅茶を手渡し、何から話そうかと前置きをしながら先程の地図を広げた。
目の前に座る千夜もつられて地図を見る。
「この地図はレクエルドの世界地図。レクエルドをご存知?」
千夜は黙って首を振る。
「そう…。レクエルドは数千年前に出来たとされる世界。それまでは小さな小さな国が一つしかなかったの。」
昔話をするかのように、架凛は話し始めた。
「その国には何も無かった。人々は生活するのがやっと。それでも人々は平和に暮らしていた。」