x.stage
 


「ある日突然、"旅人"と名乗る男が現れ国民に訴えたの。もっと素晴らしい国をつくろう、って。彼はその当時の国には無かった力で新たな国をつくった。それがこの国、ユートピア。」


架凛が再び地図を指差す。

ユートピアと呼ばれる国は、千夜の知るヨーロッパだった。

架凛は笑顔のまま話を続ける。


「ユートピアは面積だけじゃなく、資源も増やしていった。そうして新たな国も次々と生まれ、今はこの翠鳳国を含めて七つの国があるわ。」


一気に聞かされた話は、当然彼女の知る歴史には存在しない。

千夜は改めて自分が異世界に来たことを思い知らされた。


「あの、その旅人…って、どういう人だったんですか?」

「歴史書には詳しい記載がないの。ただ、彼が国をつくる代わりに国民に出した条件からして、悪い人ではないと思うわ。」

「条件?」


 
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