x.stage
「平和を守ること。これだけ。」
いつの間にかテーブルにやって来た真郷は、千夜の隣の椅子を引いて座った。
「不思議な旅人だろ?で、その条件を今も忠実に守ろうとしているのがここ、騎士団。」
そう言って真郷は自分の左胸のエンブレムを指差した。
青いリボンのようなものを背景に、真ん中に金色の盾が描かれている。
その盾に何か記号のようなものがあるが、千夜には読み取れない。
「エンブレムは騎士団の証。それなりに強くなきゃ入れないんだー。俺もさっきの馬鹿な弟も一応団員。」
「真郷、聞こえるわよ。」
「大丈夫、あいつ馬鹿なの本当だし。てか聞こえるように言ってるし。」
二人の笑顔の会話に若干肌寒いものを感じながら、千夜は疑問を口にした。
「もしかしてさっきの人…近くにいるんですか?」
「うーん、上にいるのは事実かな。大丈夫だよ、あいつがあんな風につっかからないように―――」
真郷の言葉が終わる前に、千夜は立ち上がった。