x.stage
立ち上がった千夜に驚きを隠せないのか、架凛は大きな目を更に見開いている。
「えっ、ちょっとどうしたの?」
「真郷さん、あたし分かりました。ちょっと上行ってきます!」
「わかった!?わかったって何が―――」
あわてふためく真郷を見ずに、千夜はリビングの横の階段を駆け上がった。
残された架凛はくすくすと笑っている。
「笑い事じゃないだろうが…あの子、完璧に話の途中で行っちまったぞ。」
「ふふふっ、いいじゃない、ゆっくり知っていけば。時間はあるわ。」
笑い続ける架凛を見て、真郷は苦笑いを浮かべた。
―――…‥・
下の声を聞いていた緋那は、千夜が来ることを知っても動こうとはしなかった。
まさかこんなところまで来れるはずがないと、彼が寝ようとした瞬間だった。
「あ、確かに上だね。」
「うわぁぁ!!お、お前、どうやってここに上ってきた!?」
「えっ、上ったんだよ。」
ひょっこりと屋根の下から顔を出した千夜は、ひらりと足を屋根の上に乗せる。
腕の力でどうにか上り、屋根の上で口をパクパクさせる緋那に近づいた。