x.stage
ベッドの脇にある小さな机に、昨日千夜が着ていたセーラー服が畳まれている。
架凛に密かにお礼を言いながら、借りていた真っ白なパジャマから制服に着替えた。
扉の横の鏡で真っ赤なリボンの位置を整え、ついでに寝癖を手で抑えつける。
『おい、寝癖。』
ふいに、陸の声が聞こえた気がして後ろを振り向く。
だが、桃色のカーテンが静かに波打っているだけだった。
窓を開けっ放しにして寝ていたようだが、夜中は寒さは感じなかった。
四季はよくわからないが、5月ぐらいの気温かなと千夜は考えた。
静かに窓を閉め、真っ青な空と緑の森を眺める。
このどこかに陸がいるのか、結局昨日はわからずじまいだった。
―――…‥・
緋那が屋根から落ちた千夜を助けた後、架凛は無理矢理彼女をロッジに押し戻した。
促されるままに入口の右手にある階段を上り、2階の1番奥の部屋に通された。
奥に両開きの窓が1つ、入って左手にベッドと机、右手には鏡と箪笥のような引き出しが1つ。