x.stage
 


千夜は部屋の中央に進み、ぐるっと見渡す。

壁や床が全てつやつやとした木で造られているのを見て、やはりここはロッジだと思った。


「今日からここが貴女のお部屋。家具が少ないけれど、好きに使ってね。」


相変わらずの穏やかな笑みで言われ、千夜は再びお礼を言う。

いきなり異世界から来たという疑惑つきの少女に、こんな部屋まで与えてくれるとは思ってもいなかったため、千夜はおずおずと尋ねた。


「あの…久階さん、」

「架凛でいいわ。」

「あっ、じゃ架凛さん…あの、何であたしにここまでしてくれるんですか?」


その問いに、架凛は入口に立ったまま笑って答えた。


「困っている人を見捨てたり出来ないし、私も長いことここに一人で住んでて寂しくなってた頃なの。だから、気にしないで。住人が増えて嬉しいわ。」


その言葉と笑顔に、千夜もまた笑顔で返した。


「お友達、早く見つけないと暗くなっちゃうわね。一眠りしてて。夕飯の頃に呼びに来るから。」


 
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