x.stage
千夜はサラダを咀嚼しながら頷く。
「その闇が貴女をここに連れてきたなら、もう一方の闇はまた別の国に陸くんを連れて行ったのかもしれない。」
「有り得る話だな。異世界がここ以外にそうひょいひょいは存在しないだろうし、他の国にいる可能性もある。騎士団の方で調べてみるよ。」
真郷は最後のパスタを口に入れ、ごちそうさまと手を合わせる。
千夜はフォークを置き、2人に頭を下げる。
「ありがとうございます。あたし、何も出来ないけれど、2人に会えて本当に良かった。」
自然と溢れた笑みを見て、千夜と真郷も笑った。
「千夜ちゃん、笑ってな。陸くんがだって、君が湿気た顔してたら心配するさ。」
「そうそう。私で良ければいつでも相談して。必ず陸くんを見つけましょう。」
思わず涙ぐみながらも、千夜は一流レストラン並みに美味しいパスタを口に運んだ。
陸に笑顔で会えるように、泣かないようにすることを心に誓った。
異世界にきた1日目は、そんな風にして過ぎていった。