x.stage
―――…‥・
借りたパジャマを持ち、1階に下りる。
キッチンからいい匂いがしてきた。
「おはようございます。」
「おはよう、千夜ちゃん。ちょっと待ってて。すぐ作るから。」
白いエプロンを翻しながら、フライパンや箸を器用に操り、お皿に次々と料理を乗せていく。
昨日から感じていたことだが、ここの文化は限りなく日本に近いようだ。
昨日の食卓で話題となったこととして、箸を使ったり魚を煮て食べたりもするらしい。
お風呂のシャワーや照明、ガスコンロに至るまで、決して最新の物とは言えないが、千夜が使い慣れた物ばかりだった。
違うこととしては、情報が新聞のみであることだ。
テレビもラジオもないため、毎朝の新聞が全ての情報源らしい。
「お待たせしました。あぁ、サイズは平気だった?」
「大丈夫。ありがとうございました。」
パジャマを受け取りながら、架凛は良かったと言って笑った。
身長が165cm近い架凛に比べ、158cmの千夜には少し丈が長かったが、短いよりはマシだ。