x.stage
千夜が足を抱えて屈むと、ちょうど鳥と同じ目線になった。
「あのぉ…新聞やさんですか?」
鳥に対して何とも間抜けな質問だとは思いつつも、千夜は尋ねずにはいられなかった。
返事の代わりに、新聞やと思われる鳥はこう言った。
「おい小娘、架凛さんはどこだ?」
「…喋った…。」
「聞こえんのか、バカな小娘だな。」
「なっ…バカですってぇ!?鳥にバカにされる筋合いはないんだけど!?」
目の前で今にも掴みかかりそうな千夜を余所に、鳥は家の中を覗く。
「架凛さーん、いらっしゃいますかー?」
「ちょっと、話聞きなさいよ!」
「どうしたの?あら、やっぱりレイクね。」
奥から現れた架凛を見た途端、鳥は背筋を伸ばし、恭しく新聞を差し出した。
「架凛さん、本日の新聞です。今日もも麗しいですな。」
「ふふっ、いつもありがとう。」
羽をパタパタさせて喜ぶ鳥を見て、千夜はようやく状況を理解した。
この鳥が、ただのエロ鳥だということを。