x.stage
「あららー何かやられた?」
未だに玄関口で固まっている千夜の肩に手が置かれ、後ろを振り返ると真郷と緋那が立っていた。
昨日とは違い、青いシャツにジーンズというラフな恰好の真郷。
緋那は迷彩柄のベストの下に白いシャツ、下はカーキ色のカーゴパンツを履いている。
改めて美形なことを確認していると、真郷が「あーっ!」と叫んで鳥に近づいた。
「レイク!俺の婚約者に手出すとはいい度胸じゃないか!」
「手は出しとらん。羽を出した。」
「毎度毎度屁理屈を…ほら、新聞置いたらとっとと帰れ!」
やれやれというように、羽を広げながらこちらに歩いてくる。
すれ違い様に千夜を一瞥し、こう言った。
「小娘、新聞やを舐めるでないぞ。」
その意味を聞く前に、鳥は緋那の横をとことこ歩き、森へと消えて行った。
「…飛ばないの?」
「あいつが飛んだところは見たことがねぇ。」
緋那はめんどくさそうに頭をかき、千夜の背中を押した。