x.stage
 


「あららー何かやられた?」


未だに玄関口で固まっている千夜の肩に手が置かれ、後ろを振り返ると真郷と緋那が立っていた。

昨日とは違い、青いシャツにジーンズというラフな恰好の真郷。

緋那は迷彩柄のベストの下に白いシャツ、下はカーキ色のカーゴパンツを履いている。

改めて美形なことを確認していると、真郷が「あーっ!」と叫んで鳥に近づいた。


「レイク!俺の婚約者に手出すとはいい度胸じゃないか!」

「手は出しとらん。羽を出した。」

「毎度毎度屁理屈を…ほら、新聞置いたらとっとと帰れ!」


やれやれというように、羽を広げながらこちらに歩いてくる。

すれ違い様に千夜を一瞥し、こう言った。


「小娘、新聞やを舐めるでないぞ。」


その意味を聞く前に、鳥は緋那の横をとことこ歩き、森へと消えて行った。


「…飛ばないの?」

「あいつが飛んだところは見たことがねぇ。」


緋那はめんどくさそうに頭をかき、千夜の背中を押した。


 
< 44 / 69 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop