x.stage
そうそうと言い、妖しい笑顔を浮かべながら真郷は緋那に向き直った。
「緋那、デートしといで、千夜ちゃんと。」
笑顔でけろっと言ってのける真郷に、リビングは一瞬にして静まる。
数秒遅れて様々な反応が返ってきた。
「デ、デートォォオ!!??」
「あら、緋那は初デートじゃない?」
「嫌だ!絶対嫌だぁ!!」
緋那を掴む方と反対の腕で、お腹を抑えて笑う真郷。
「あははっ。面白い反応どうもどうも。いいじゃん、案内しといでよ、町をさ。」
町に出られると知って喜ぶ千夜を横目に、緋那は殺気を放つ。
「…殺すかもしれねぇぞ?」
一瞬にして向けられた殺気に、千夜はびくりと肩を揺らす。
真郷は呆れながらもこう言った。
「分かってるはずだ。旅人は、もう一方かもしれない。」
もう一方という言葉に、千夜はいち早く反応した。
「っ…ま、待ってください!陸は…陸は旅人じゃない!彼に力なんかない!それに……」
千夜が真郷に掴みかかる前に、架凛の手がそれを制した。