x.stage
 


架凛の大丈夫とでも言うような目を見つめ、千夜はゆっくりと真郷に向き直った。


「まぁね、旅人自体迷信かもしれないし。異世界の存在は認めるけど、そんな簡単に殺したりはしないさ。だから安心して、買い物しといで。」

「…はい、ありがとうございます。じゃとりあえず買い物に………ん?」

「そうそう、お買い物。」

「え、あ、あたしお金が…。」


無一文だということに気がついても、なぜかまだ笑みを浮かべる真郷と架凛。


「………まさか、俺に払えと?」

「ピンポーン!」

「いいじゃない、お給料入ったでしょう?」

「待て、俺はまだ行くとは一言も―――」

「行きなさい。」


表情を見ることは出来なかったが、千夜は事態を把握した。

架凛の言葉は絶対。

黙ってしまった緋那を見て、少なくとも自分は引金を引かないよう気を付けねばと心に刻み込む。



結果、朝食を食べ終わる前に2人は家から追い出されてしまった。

見送る2人の笑顔を背に、憂鬱なデートが始まった。


 
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