x.stage
「大丈夫。……それより、架凛さんも真郷さんも見て見て…ジャジャーン!」
千夜が袋から出したのは、色とりどりの服。
薄いピンク色のワンピースをあて真郷に見せる。
「可愛いじゃーん!緋那の趣味?」
「違う!だから何で兄貴はそうすぐに…」
「でも緋那の意見もちょっとは聞いたよ?」
「はあ!?し、知らねぇよ!!」
むきになると次第に顔が赤くなるところは、昔から変わらない。
昨日自分が言った言葉で、ここまで彼女に対する態度が変わったわけではないだろう。
元来優しい性格な弟を、兄はひっそりと心配していた。
いい意味で、彼女の存在がこの世界を掻き乱してくれれば。
「兄貴?」
「え?あぁ、ごめん。妄想してた。」
「…真郷さんの冗談って分かりづらいですね。」
「そうかな?それよりも千夜ちゃんさー敬語やめようよー。」
2人の肩を叩き、笑顔で歩き出す。
黙ってそれを見る自分の顔がどんなだったのか、架凛はわからなかった。