x.stage
高校から平坦な道のりを歩いて15分。
佐倉家は住宅街の真ん中にある一戸建て。
「ただいま。」
「お帰り~。どうどう?新しいお友達はできた?」
早速玄関にやってきたエプロン姿の母親に、千夜は呆れてこう言った。
「あのね…高校二年生になって友達って…」
「あらら、陸くんも一緒ね。いつも不良みたいでかっこいいわよ。」
「あたしは無視かい!」
微妙すぎる褒め言葉に、陸は苦笑いを浮かべる。
早々と二階の自室に逃げ込み、制服のままベッドに倒れ込む。
「疲れたー…。」
「おい、パンツ見えるぞ。」
「見えないでしょ!あたしベッドの二階にいるんだから!」
二段ベッドの下から聞こえる声に、千夜は身体を起こして答えた。
下を覗き込むと、陸はすでに制服から着替えていた。
「…着替えてるとこ写メったら絶対高く売れるのに。」
「俺は見せ物じゃねぇ。」
雑誌から視線をずらし、陸は千夜を睨み付けた。