x.stage
trois
カツカツとヒールの音を響かせ廊下を歩くのは、色素の薄い瞳の女。
長いスカートを靡かせながら、扉1つない長い廊下を歩く。
顔や背丈がそっくりな2人の従者がその後ろを歩いていた。
「シエラ様、夕日が綺麗で御座います!」
髪が幾分長い方の従者の声に、石造りの搭から外を眺める。
ひやりとした石の窓枠に手を置くと、外に広がる緑が紅く目に映った。
「燃えてる…。」
「山火事は御免だぜ。」
突然聞こえた低い声に驚いた従者がさっと廊下の奥を振り返る。
「驚きましたよ、潤隊長!」
「潤隊長の気配って本当に分からないんですから!」
現れたのは翡翠の瞳。
紺色のジャケットには青い盾の紋様がある。
「お前らの隊長は気づいてたみたいだけどな。」
「…私に何か用かしら?」
冷徹に聴こえる声を気にせず、男は目を細めて応える。
「報告がきた。うちの国だ。」
窓の外から視線を外さずに、女は背筋を伸ばす。