x.stage
―――…‥・
思い返すと陸はいつも無愛想だった。
笑った回数は数える程で、学校でも1人でいることが多かった。
何を考えているのかと尋ねれば、彼は決まって人生についてと答えるから、千夜はやがて聞かなくなった。
今も人生について考えながらどこかを歩いているのだろうか。
「不安で仕方がない。」
「ん?何か言ったかしら?」
「あ、ごめん気にしないで。独り言。」
「独り言がでかいんだよ。」
「馬鹿緋那、それ食べなくていい!」
「馬鹿だあ?てめえ、誰に向かって言ってんだ!?」
すっかり見慣れた光景に、架凛はくすりと笑う。
夕飯の食卓には、最近必ずと言っていいほど竜巳兄弟のどちらかが現れる。
真郷に言われ渋々と言った様子だが、緋那も度々訪れている。
ここで暮らし始めて2週間、そんな日々が当たり前になっていた頃だった。
「千夜ちゃん、君の存在は騎士団にもフィオーレにも気付かれていると思う。」
突如、夕食の手を止め、真郷はこう切り出した。