x.stage
先に仕掛けてきたのはどっちだと思いながら、千夜は制服のまま二段ベッドから降りた。
ベッドの真ん中から扉までを境に、カーペットの色が2色に別れている。
青を基調とした半分は陸、ピンクを基調としたもう半分は千夜のテリトリーと決められている。
もっとも、二人にはあまり気されていない境界線だ。
千夜は自分の机の上から、桜の形をした小物入れを開けて、同じく桜の形のピアスを取り出した。
「お前、律義だよな。」
「陸は校則破りすぎ。ピアスも髪染めるのも禁止なのにさ。」
「髪はお前が染めたんだろうが。」
彼の言葉を無視し、全身鏡の前に立ってピアスをつける。
向きを調整していた時、ふと鏡の奥で何かが光った気がした。
よく見ると、鏡の中の窓、つまり千夜の背後の窓ガラスから光が出ているようだ。
後ろを振り返った千夜の表情を見て、陸も同じように視線を向けた。
「桜。」
千夜がぽつりと呟いた。