傘恋愛 -カ サ レ ン ア イ-
ガシッー
「!」
「散歩か何かか」
「そ・・・う」
眉間にシワを寄せながらあたしの腕を掴んだのは、家で寝てるはずの奏。
「何してるの」
「俺の台詞なんだけど?」
「・・・・・」
あたしが黙ると、奏は「はぁ」と溜め息をついて、あたしの頭に手を置いた。
あたしの右手は掴まれたまま。
奏は、黙ってあたしの目を見た。
「奏、痛いよ、離して」
「やっぱ、嘘か?」
「・・・・」
「記憶が無い訳じゃ、無いんだろ」
何で。
何でよ。
「全部、気付いてたの?」
「なんとなく」
どうして離れてくれないの?