傘恋愛 -カ サ レ ン ア イ-
「何飲む?」
「・・・ホットミルク」
カウンターの一番端の、窓側の席に彼女はちょこんと座っていた。
俺の上着をぎゅっと握り締めながら。
俺がホットミルクを差し出すと、彼女は黙ってそれを口にした。
そして小さく「あち」と呟いた。
「猫舌か?」
「うん」
「そっか、じゃ少し冷ましとけ」
うん、と頷いた彼女を後にして、俺はしていたエプロンを外した。
マスターは俺らを見て少しニヤニヤしながら、さっき店を出て行った。
峰子さん、を待たせているらしい。
暫くしてまたホットミルクを飲んだ彼女は、小さく笑って俺の方を見た。
「ありがと」
「・・・おう」
何故か顔が熱くなる。