傘恋愛 -カ サ レ ン ア イ-
「これ美味しい」
「そうか?温めただけだぞ」
「美味しいよ、熱く無かったらもっと」
そう言って意地悪く笑ったユイは、本当に猫舌なんだろう。
「雨が降ったら、今度はあたしがあんたに会いに来るよ」
ユイはそう言って残りのホットミルクを全部飲み干すと、席を立った。
何故、雨の日なのかは聞かなかった。
「おう」
何となく、聞いちゃいけない気がした。
「じゃあね」
俺の上着を椅子にかけてから、彼女はそう言って店を出た。
赤い傘を差して。