傘恋愛 -カ サ レ ン ア イ-
はー、とホットミルクを両手で持って斜め上を見るユイを暫く見てから、
「何でホットミルクなんか飲んでんだ?」と俺は聞いた。
別にホットミルク自体を否定してる訳では無くて。
女ならもっと、こう、ココアとか。甘いものが苦手ならカフェモカとかを頼むもんだ。
それをまたホットミルクなんて微妙なチョイスだから、俺はそれを聞かずには居られなかったのだ。
「何かあたし、甘いのも苦いのも好きじゃ無くて」
ユイはそう言って苦笑いする。
「ホットミルクって、甘くも苦くも無いでしょ?」
「まぁ、そうだな」
そう付け足したユイに、一理あると思い俺は納得した。
そう言えば、ユイは見た目とは裏腹に女らしい所が一切無い。
始めて会った時には気付かなかった。
耳に髪をかけながら、俺を見て「なに?」と笑う、そんなユイの持つ顔に。