傘恋愛 -カ サ レ ン ア イ-
俺が笑うと、ユイは何かを察したのかそれ以上は何も聞いて来なかった。
「夜飯食べたか?」
話題を変えようと、俺はユイにそう聞く。
「まだ」
「カルボナーラ在るけど」
「食べる」
そう言ったユイの頭を、カウンター越しにポンと叩いて俺は小さく笑った。
「今度、雨が降ったらさ」
「うん?」
「何処か遊びに行こう」
俺はそう言ってカルボナーラを出す。
ユイは暫く目を見開いて、俺をじっと見ていた。
「マスターには言って在るんだ、もし仕事が入ってたら休むって」
「何処、行くの」
「何処でも良いよ」
俺が笑うと、ユイも「うん」と笑った。