傘恋愛 -カ サ レ ン ア イ-
次の日、カラッと上がった天気を見て若干肩を落としながら俺は家を出る。
バスの中でボーッと外の景色を見てると、ふと赤い傘が横切った気がして、慌てて窓に目入った。
何だ・・・日傘か。
第一、今日、晴れてるし。
ユイに会ってから、赤い傘にはやけに敏感になった。
前までは、バス通だから泥が跳ねると雨を好んでは居なかったのに。
それが今になれば、雨を待ち遠しいとさえ思ってる。
「お前は変わったよ、何か楽しそうだもん。ユイちゃんに会って、感情豊かになった」
マスターはそう言う。
そう言えばユイに会ってから、よく笑ってるのかもしれない。
変わった、のか。俺。
あの日、ユイに会ってから。