傘恋愛 -カ サ レ ン ア イ-
「あー疲れた」
店を閉店してカウンターに倒れ込む様にそう吐き出したマスターに
「お疲れ様です」
とそれだけ言って笑う。
「厨房入りっぱなしでお客さんとあんま話せなかったよ」
「チーズケーキ、好評でしたよ」
「そっか、うん、お客さんが喜んでくれたならそれで良いんだけどな」
マスターはそう言って微笑んでた。
「本当は一番に、ユイちゃんに食べさせてあげたかったんだけど」
「え?」
「いつも寂しそうだから。奏汰が仕事してる間も、ホットミルク何倍もおかわりしてじーっとお前のこと見てたんだよ」
「ユイが・・・」
「大事にしてやれよ」
そう言って俺の肩をポンと叩いたマスターに、俺は小さく、頷いた。