傘恋愛 -カ サ レ ン ア イ-





「うま」


ユイが作ってくれたベーコンと卵焼きの王道な朝食。

最近忙しくて、まともに飯も、買い物すらも出来て居なかったから。



「美味いよ、お前料理出来たんだな」


「何言ってんの、卵割るだけじゃん」

「愛も入ってる」



我ながらシケた台詞だと後から後悔すると、ユイはお腹を抱えて笑いだした。


大分、失礼だ。





「奏、今日バイト?」

まだ笑い混じりにユイが言った。


「ああ、お前は家に居ろ」


「やだ」



「はあ?」




「あたしも一緒に行く」


そう言ってキュッと俺のシャツの袖を引っ張ったユイに少し驚いてから、俺はその手を握り締める。



「分かったよ」



今朝は何て良い朝だったんだろう。




ユイと並んでバスの座席に座る。

どちらからとも話すことなく、だけどすぐ側に感じる体温が幸せだった。






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