傘恋愛 -カ サ レ ン ア イ-
カランコロンー
「お、おは・・・あれ、ユイちゃん!」
入った瞬間ユイに気付いたマスターが、ハッとしてから窓を覗く。
まあ、俺と同じ反応だ。
隣で苦笑いをしてるユイの頭をポンと叩いて座るよう促すと、俺はカウンターに入った。
マスターは少し状況が分からないようだったけど、すぐに何かを悟ったのか俺の胸を軽く拳でついて、いつものようにニヤニヤ笑い出した。
「なんすか」
俺も笑みがこぼれてたかもしれない。
「何か飲むか?」
「ううん、まだ良いや、あっち行ってても良い?」
そう言ってホールに出て行ったユイの後ろ姿を小さく笑って見送ると、俺は制服に着替えた。
ユイの事は、まだ聞かない。
もう少しだけ、この幸せを、あの温もりを感じて居たいから。
俺は待ってるよ。