空、あなたしか見えなくて

やきもち

奈々は今も空のこと
好きなのかな...?

「あ、空だ。」
「え?」

空はグラウンドに出て、もう走っていた。
さすが、陸上部...。

更衣室で着替えて外へ出てみた。

ほとんどサボってるし...。
借り物競走なんて
練習なんかいらないじゃん...。

「じゃ、あたし練習してくるね。」
「うん。」

なんか奈々嬉しそう...って
考えちゃ駄目だってば...。

もう別れたんだし
奈々にその気はないよね...。

「いちについて、よ-い、どんっ!」
「え...っ。」

は...速っ!
奈々、超速いじゃん。
空と同じくらい速い...。

「は-っ、疲れた-、空速くなったねえ。」
「もうお前にはこされねえよ。」
「むかつく、絶対勝つし。」

私に聞こえるように
わざと大きな声で笑い合ってるように
聞こえてきた。

私の心が
どんどん悪い方に進んでいってる。

「な-つっ!」
「...何。」
「そっけないなあ、どうしたの?」

私の気持ち知ってるくせに。
仲良いところ、見せつけないでよ。

本当はそう叫びたかった。

「別に。」
「そ。借り物競走、頑張れ!」

まるで、よそ者扱い
されてるみたいだ。

私、どうかしてる。

奈々はそんな子じゃないのに。

下を向いていると視線を感じた。
顔を上げると、空が奈々を見ている。

...どっちも好きなんじゃん...。
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