空、あなたしか見えなくて
気付く

友達

ガラッ

「転校生の紹介をする-。
 東京から引っ越してきた小川だ。」
「...っ小川夏です、宜しくお願いします。」

テンパってる...。
日向君見てるよ...、恥ずかしい...。

「んじゃ、1時間目の準備-。」

先生がそういった瞬間
窓側の1番後ろの私の席に
人がどっと集まる。

「東京から来たの?!」
「可愛い-、モデルっぽい-。」
「東京のこと、教えて!」

とりあえず愛想笑いで一通りの
質問に答えると
疲れがこみ上げてきた。

質問してきた子の中でも
1番気が合いそうなのは
桐谷奈々っていう、小柄で可愛い子。

ショートカットで前髪ぱっつん。
すごく...モテそう...。

「夏って呼んで良い?あたし奈々で良いから。」
「うん!奈々、ね!」

授業が終わって帰ろうとしたとき
日向君が近づいてきた。

まただ。
高鳴る胸、赤くなる頬。

「もう友達できてんじゃん、良かったな。」
「うんっ。」
「じゃ、俺部活あるから、また明日。」
「うん、じゃあね!」

たしか日向君は陸上部。
エナメルバッグをしょって
グラウンドに走っていった。

私も部活、入らないとなあ...。

ちょっと考えながら教室を出て
玄関に向かうと、朝の先輩たちが
こっちを睨んできた。

「...小川夏、ちゃん...?」
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