空、あなたしか見えなくて

種目

教室にはいるとHRが始まっていた。

「小川-、遅いぞ-。」
「...はい。」

自分の席に行くには
奈々と空の席を通らなければいけない。

なんか気まずい。

「夏-、どうしたの?」

奈々がヒソヒソ声で
私に話しかけてきた。

すぐに言い訳が思いつかなかったから
そのまま無視して
通り過ぎた。

あ-、もう私最悪だ...。

「じゃあ、今日は体育祭の種目決めをする。」
「種目は、障害物競走と綱引き、リレー
 玉入れ、借り物競走です。」

先生の隣にいる学級委員長が
ハキハキと喋る。

あ-だ、こ-だ言ってるうちに
種目が決まってしまった。

え-っと、借り物競走?

めんどくさ-...。

あ、奈々と空はリレーだ。
2人とも足速いんだろうな...。

なんか、やだな...。

「じゃ、1時間目は体育で
 早速、練習するからな-。」

だるっ...。

「夏、着替え行こっ!」
「...うん。」

奈々はさっきのことあんまり
気にしてないみたいだった。

良かった...。

「あ-、あたしリレーだった、最悪。」
「奈々って足速いの?」
「全然、遅いよ。」
「...そっか。」

普通に会話できてるし。
空と一緒だったこと
気付いてないのかな...。

「リレー、空もだったよ。」
「ふ-ん、何、やきもち?」
「ちっ違うってば!」

奈々はニヤニヤしていた。

あの切ない顔はもう見たくない-...。
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