キス、しちまいました
どっちにしようか。

期間限定のお菓子と、いつもよく買っているお菓子。

麻衣ちゃんこれ好きだからなぁ。

この前お菓子くれたし、そのお礼に。

皆喜ぶかなぁ

そんな想像をしていて、
だから、
私は隣に人がいるのなんて気付かなくて。

髪に何かが触れた気がした。

確かな体温を持って、撫でる様に頭に触れてくる。

振り向く。

手だった。

大きな手。

ごつくて大きい、男の子の手。

さっき目があった男の子だった。

…………え?

……何?

もう片方の手が、私の頬に触れる。

壊れやすいモノに触わるように、
確かめるように。

大きな手のひらだった。

目の前の人の体温が頬を通して伝わってくる。

…どういう、意味?

目で疑問を投げかける。
目と目が合う。

目の前の少年は私を見ていた。

今度は瞳を逸らせなかった。

端正な顔が近づいてくる。



やわらかいもの

唇が触れた。




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