キス、しちまいました
お互いに何も言わず、見つめあう。

火照った頬をコンビニ独特の冷気が冷ましてくれる。

それに比例して、今の自分をさっきよりは冷静に見ることができた。

少なくとも色んな人の視線を感じられた。


「………」彼の無言。

「………」私の無言。

何か言わないといけない気がした。

「……っ、ぁ」

何て言う?

『痴漢』?
『初めてを返せ』?
『何じゃこりゃあぁ!?』?

な、何か一個違う!!
それって確か、腹かっさばかれた時に言うヤツだ!


またパニックになってまごついている私より先に、彼は口を開いた。


「――リップ、ついてたからっ」


…………。

…へ? リップ?

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