キス、しちまいました
横に微かな風を感じた。
緑の制服の女の子が、通りすぎていく。
黄色い午後ティーに決めたらしい。
そのままレジへと向かわずに菓子コーナーへと向かっていく。

…今日は、菓子買っていくのか。

「じゃあさっさとレジ並ぼうぜ。坂本が待ってる。」
「…ん、あぁ。」

女の子はまだ、菓子売り場でうろついている。

つい、と少女の方へ目を向けると

瞳が、合った。

ただしそれも束の間で、するりと少女の方から視線を外される。


「悪り、お菓子買いてーから、先並んどいて」

勝手に出た言葉だった。
「分かった。早くしろよ。」
篤の言葉に返事をせず、俺の足は菓子コーナーへと進む。

少女は居た。

片手に飲み物を持って、買う為の菓子を選んでいるらしい。

近くにいる俺には気付いていない。


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