キス、しちまいました
髪をさわっていた左手に少し力を込め、彼女の顔を俺に押し付ける。

胸に感じる抵抗がぐいぐいからバンバン、ドンドンと力が強くなってくる。

噎せたい気持ちを抑え、頬へあてがっていた右手を彼女の肩に、背中に回し彼女の体を抱き締める。

抵抗は小さくなった。
角度を変えてキス、離し、時折嘗めて、再度キス。

舌を口の中に入れようとして、


止めた。

意識が戻り、理性が覚醒する。

唇を離し、押さえつけていた左手を柔らかな髪から抜き、抱いていた右手の力を抜いて離す。

彼女は何も言わない。
目が合ってたいたけど、軽く放心していた。
唇は湿っており、先程まで俺がやっていたことが夢ではないことがわかる。

店員二名も見ていた。
立ち読みしているオッサンも見ていた。
少し離れた所にいる春と篤も見ていた。

春は溶けつつあるアイスが垂れるのも気にせず口を開けてぽかんとしており、篤でさえ目を見開いて口を半開きにしている。

「……………。」



あれ、俺



キス、してた?






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