蜂蜜れもん
* * *
いくら悩んでも嫌だと言っても朝は変わらずやってくるわけで、眠たい目を擦りながら煩く鳴り響く携帯のアラームを止める。
カーテンを開ければ強い日差しが部屋に差し込んだ。眩しくてついつい目を瞑ってしまう。
「あっつい」
窓を開けても無風。蝉が鳴くから余計に暑く感じてしまう。
届いたばかりの新品の制服に袖を通して家族のいる1階へと下りて行った。
「今日から新しい学校ね」
「やってけんの?」
「やってい……けるよ。多分」
「その発言結構心配なんだけど」
「大丈夫よお兄ちゃん。莉緒はこれでも友達すぐ出来る方だから」
いつもと変わらない日常。一緒に朝食とって会話して、学生の莉緒たちよりも先に母親が仕事に行くからそれを送り出す。その少しあとに兄が登校して追いかける莉緒。
「莉緒、気を付けて行って来なよ」
「分ってる! お兄ちゃんも気を付けてね。行って来まーす!!」
ぶんぶんと手を振って兄と別れた。
学校が近くなると同じ制服着ている生徒が見受けられる。心臓バクバクなのは本人が一番分かっている。
暑さでとは別に手に変な汗をかきながら校門へ入っていく。クラスが分からないから靴を脱いで適当に下駄箱に突っ込んだ。