蜂蜜れもん

「? お前、見たことねぇ顔だな」
「…………」

金髪で耳にはピアスが輝いて見えるほどの量にカラコンだと思われる青の瞳。第二まで開けて腰パン。校則なんてこれっぽっちも守っていない服装。

――The☆不良
――旭野高等学校、こんなんでいいのか……

「西園莉緒ちゃん。今日転入して来たの」

「そっか」なんて言いながら普通に莉緒と愛海の間に座る男子生徒に気絶しかける。
ズルズルとお弁当を引きずって、新品ということは頭から抜けてズルズルと下がった。
男子生徒からしては変な行動だと思われても仕方がない。気になったのかパシっと手首を掴んだ。

「っ!!!!」
「男の子、苦手なんだって」
「おま、言うのおせぇ!」

怒鳴ると莉緒の肩が震えたから怖がらせたと思って謝って来た。その謝罪に首を横に振る。

「9組の高橋廉(れん)よろしくな」

手を出しているから握手なんだろうがここ数年、男の人の手を握ったのは兄だけ。恐る恐る手を伸ばして指先にちょんっと触れて指先だけ握った。それに対して廉はククッ……と喉を鳴らしてぎゅっと握り返す。
こんなことしている間もお昼時間はどんどんなくなっていく。

「もーらい」
「あっ、」
「莉緒、あーん」
「……あーん」

ひょいっとミニオムレツを廉に持っていかれ悲しそうな表情をする莉緒に愛海は再びプチトマトを与えた。

「廉、勝手に食べちゃだめ」
「あー……西園」
「はひ、なんれすか」
「あーん」
「あーん」

男子が苦手とか何とか言っていながらも、廉が自分のお弁当からとったアスパラの豚肉巻きをもらう。

――何してんだ私
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