指先の恋
小説家
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「今回は何?どんな話?」
友達のよう子が、興味津々に画面を覗く。
「秘密」
「えー、ケチ」
そう言いながら、頬をぷっくり膨らませる。
この態度、参考になるのよね。
「うーん……続きどうしようかな」
パソコンの画面の前で頬杖をついた。
『指先の恋』
小説家のケンタと、そのケンタが書く小説の主人公の話。
ファンタジーな恋愛小説を目指して書き始めたのだ。
「……やっぱ続きは明日考えよっと」
パソコンの電源を落とし、ソファーにごろんと横になる。
手のひらを上に上げ、じっと指先を見つめた。
指先から、恋が生まれる。
彼らの未来を、ハッピーエンドを、この指先が紡ぎだす。
end