指先の恋
「ん?消した」
僕の前の画面は真っ白。
僕の隣の雅は真っ青。
「消したって、どうして……」
雅は画面と僕を交互に見ていた。
「書きたいものが変わったんだ」
にっこりと彼女に笑かけると、僕はキーボードの上に指を置いた。
今僕が体験している、雅と僕の物語。
それを書こうと思った。
今感じているそのままを、まっすぐに。
僕の指先から、きっと、恋が始まってゆく。
確信は無いけど、きっと……。
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