エデン

「あぁ~!!メタトロン様、またジプリール様にちょっかい出してる!!」

そう言ってジプリールを庇うように間に入ってきたのは、ジプリールに仕えているエティル。

エティルは怯む事なく、可愛らしい瞳でメタトロンを睨みつけた。

まぁ、迫力は全くといってないのだが。

昔はメタトロンが恐くて堪らなかったのだが、ラファエルがいなくなって自分がメタトロンの毒牙(?)からジプリールを護らなくてはいけないと使命感に燃えているのだ。

「エティル‥」

ジプリールもホッとしたようにエティルを見降ろした。

対照的にメタトロンは僅かに表情を歪めた。

チッ!と心の声が聞こえそうだ。

「駄目ですよ!ジプリール様にはラファエル様がいらしゃるんですから!!」

ピッ!と目の前に人差し指を立ててメタトロンに釘をさす。

「はいはい。それじゃあボクは失礼するよ」

両手を上げてわざとらしく降参のポーズをとる。

「‥‥と、その前に」

出て行く思いきや、ジプリールの前で僅かに身体を屈めた。

「!!」

「ああああぁぁ~!!」

ジプリールは声を失い、エティルは黄色い声を上げて叫んだ。

メタトロンはにっこりとジプリールの頬をさすり、

「おやすみ」

そう言い残して今度こそ間違いなく退散した。

満足そうな背中を向けて。

ジプリールは真っ赤な顔をして唇を押さえていた。


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