エデン
「・・・サリエル。お前は俺に付いてくるか?」
「は?」
「いや・・何でもない」
ここはルシファーの私室。
最初ルシファーはサリエルの目を見て問うたが直ぐに瞳を反らした。
最近ルシファーがどこか思い詰めた様子なのをサリエルは案じていた。
けれど、ルシファーが自分に相談などしてくれようもない。
ルシファーが心から信頼をしているのは双子の兄であるミカエルだけ。
そんな事は最初から分かっている。
少しでもルシファーの心の重みを軽くしたいのにどうしたらいいのか、分からない。
ルシファーはいったい何を考えているのか・・・
「ルシファー様・・・」
ルシファーの心を占めるミカエルに嫉妬にも似た感情を抱いてしまう。
ルシファーは穏やかな瞳をサリエルに向けると、部屋を後にした。
その瞳が立て前でしかない事など分かっていたが、サリエルも微笑み返した。