エデン

「・・・サリエル。お前は俺に付いてくるか?」

「は?」

「いや・・何でもない」

ここはルシファーの私室。

最初ルシファーはサリエルの目を見て問うたが直ぐに瞳を反らした。

最近ルシファーがどこか思い詰めた様子なのをサリエルは案じていた。

けれど、ルシファーが自分に相談などしてくれようもない。

ルシファーが心から信頼をしているのは双子の兄であるミカエルだけ。

そんな事は最初から分かっている。

少しでもルシファーの心の重みを軽くしたいのにどうしたらいいのか、分からない。

ルシファーはいったい何を考えているのか・・・

「ルシファー様・・・」

ルシファーの心を占めるミカエルに嫉妬にも似た感情を抱いてしまう。

ルシファーは穏やかな瞳をサリエルに向けると、部屋を後にした。

その瞳が立て前でしかない事など分かっていたが、サリエルも微笑み返した。





< 13 / 148 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop