エデン
「お姉ちゃん痛いよ!」
しばらく無心で歩いていたが、ユウキの声で我に返って立ち止まった。
「あ、悪い‥‥」
ユウキの手首を強く握り過ぎていた。
手を離すと少し赤くなっている。
「‥‥お姉ちゃん」
「わかってる」
ユウキは何か言いたげな声であたしの手を引っ張った。
ユウキはカイが心配なんだろう。
そんなのあたしだって同じだ。
「‥‥でも許せないんだ。」
どんな女のとこに行こうが、アイツが好きなのは結局セラなんだ。
忘れられるわけがない。
他の女を抱くたびに、自分の傷を深くしてる。
まるで自分に幸せになる権利はないんだと刻むように‥‥
カイ、そんな事してセラが喜ぶわけないだろ?
セラはいつでもお前の幸せを願ってるのに‥‥
こんなんじゃセラだって浮かばれやしない。
あたしはギュっと拳を握った。