エデン

ガラスが砕ける音‥‥


割れたガラス────‥‥



『痛い!痛いよぉ!!』

泣き声、叫び声‥‥

いやだ‥いやだあぁ!!


‥‥ユウキ‥ユウキ‥‥ユウキ!!


あの日も、親父ともみ合っていた。

ユウキは泣きながら止めてと叫んでいた。

けれど親父は片手に酒の入ったコップを持ちながらあたしを殴り続けていた。

あたしを殴る度にコップが揺れ、中の酒が零れ床にしみを作る。

殴るのにコップが邪魔になったのか、親父はそれを無造作に投げた。


ガシャーン!!


『ああああああぁぁ!!!!!』


コップは悲鳴と共に割れた。


その声で振り向くと、あたしの目に映ったのは顔を両手で抑えているユウキの姿だった。


『目が痛いよ‥!お姉ちゃん‥‥お姉ちゃん!!』


指の間からはポタポタと血が滴り落ちている。




『ユウキ?ユウキ───!!』





ユウキは永遠に光りを失った────‥‥









< 144 / 148 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop