エデン

台所へ入ると思わず俺は唾を飲み込んだ。

「カイ?どうしたの?お姉ちゃんは?」

俺は、目の前にある光景をどうユウキに伝えていいのかわからない。

今、この時はユウキの目が見えていなくて良かったと思えてしまう。

こんなのユウキにはみせられない。

俺自身、夢を見ているのか。


こんな‥‥


「サク‥ヤ?」


サクヤは茫然と立っていた。

血だらけの身体、手には血が滴るガラスの欠片を持っている。



ポタポタと滴り落ちるその前には────親父さんが腹を抱えて倒れていた。


「────サクヤ」


サクヤは俺達の存在に気付いたのかゆっくりと視線を俺達の方に向ける。

けれどその瞳は何も映していないかのように虚ろだった。




────後悔なんてしない‥これがあたしにとっての最善だったんだ‥‥



サクヤの声が聞こえた気がした。





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